焼成では、温度だけでなく、炉内の酸素量やガス、昇温・保持・冷却の条件によって仕上がりが変わります。このページでは、酸化・還元・炭化の違いと、代表的な5つの炉の特徴を整理します。
具体的な炉と加工先の選定については、焼成の受託・対応条件をご確認ください。

焼成は、温度と雰囲気を制御して材料を変化させる工程です
FT・Fの拠点に近い美濃・瀬戸地域には、焼き物で培われた技術と知見があります。その技術は、電子部品のように焼き上がりの精度が求められる製品や、特定の雰囲気条件が必要な製品にも応用されています。
酸化焼成
炉内へ酸素を供給し、酸素が十分にある状態で焼成します。材料に含まれる成分が酸化し、色味や質感が変わります。電気炉は酸化雰囲気を作りやすい炉です。
還元焼成
空気の供給を制限し、酸素が少ない状態で焼成します。材料に含まれる成分と酸素の結びつきが変わり、酸化焼成とは異なる色味や質感になります。
炭化
酸素を抑えた状態で対象物を加熱し、ガス、水分、炭素を含む固形物へ変化させる方法です。対象物へ直接火を当てず、蒸し焼きのような状態で進めます。
電気炉・ガス炉・ロータリーキルンの違い
炉の形と熱の加わり方を、以下の図で比較します。実際の選定では、温度、雰囲気、原料形状、必要量、求める均一性を確認します。

代表的な焼成設備5種の比較
以下は加工量、価格、安定度の相対評価です。星の数と温度は設備選定の目安で、実際の上限は使用設備によって変わります。
| 設備 | 加工量 | 価格 | 安定度 |
|---|---|---|---|
| 電気炉 | ★★☆☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★★★ |
| ガスシャトル炉 | ★★☆☆☆ | ★★★☆☆ | ★★☆☆☆ |
| 試験炉 | ★☆☆☆☆ | ★★★★☆ | ★★★★☆ |
| 炭化炉 | ★★☆☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★★☆ |
| ロータリーキルン | ★★★★★ | ★★☆☆☆ | ★★☆☆☆ |
温度上限について:この比較で示す電気炉1,250℃・ガスシャトル炉1,300℃は、比較対象とした設備の目安です。FT・Fでは複数のパートナーから条件に合う炉を選定するため、設備によっては1,700℃級まで相談できます。
電気炉:温度を安定して制御する
比較対象とした電気炉では、1,250℃までを目安としています。ガス炉に比べて安定して熱をかけやすく、色むらを抑えたい製品や、急激な温度上昇を避けたい製品に向きます。昇温速度も調整できます。
ガスシャトル炉:炎と雰囲気を使って焼成する
比較対象としたガスシャトル炉では、1,300℃までを目安としています。炉内の上下で温度差が出やすく、均一性を重視する製品では条件確認が必要です。一方、一品ごとに異なる表情を出したい場合は選択肢になります。
試験炉:数百gから数kgの少量で試す
数百gから数kg程度の少量試験に使います。本加工の前に温度、雰囲気、保持時間などを確かめたい場合に向きます。
炭化炉:酸素を抑えて安定した炭化を行う
対象物を炭化するときに使います。通常のガス炉でも容器を使って炭化に近い条件を作れる場合がありますが、酸素が入る隙間から酸化する可能性があります。炭化炉は酸素を抑えやすく、安定した仕上がりを求める場合に向きます。
ロータリーキルン:大量の原料を連続処理する
回転する筒の中で原料を移動させながら加熱します。大量処理に向き、原料へ数百度の熱をかけても問題がない条件では、比較的安価に処理できる場合があります。量が少ない場合は小型設備も検討します。
炉を選ぶ前に確認すること
- 原料の材質、形状、現在の水分
- 焼成の目的と、目標とする温度
- 酸化・還元・真空・炭化などの雰囲気条件
- 昇温速度、保持時間、冷却条件
- 試験量と量産時の必要量
- 色むら、寸法差、酸化などの許容範囲
必要条件が分かれば、候補となる炉と加工先を絞り込みやすくなります。条件が未確定でも、原料と目的からご相談いただけます。
ご相談から焼成加工まで
原料、目標温度、雰囲気、必要量、用途を伺います。必要に応じてSDSなどの情報も確認します。
温度、雰囲気、量、均一性に合わせて炉と加工先を検討します。
少量試験が可能な場合は、焼き上がりを確認して本加工の条件とお見積りを決めます。
合意した条件で加工し、成果物を納品します。
焼成の条件を相談する
他社で断られた案件ほど、まずご相談ください。相談初期からNDAに対応できます。以下のフォームに、分かる範囲で原料と希望条件をご記入ください。

